VRF(Virtual Routing and Forwarding)は、1台のルーターの中に、互いに独立した経路表をいくつも作る技術です。部署ごとやお客さまごとにネットワークを分けたいときに使います。CCNP ENARSIのレイヤー3技術の分野で出題されます。
先に結論から
- VRFを使うと、1台のルーターの中に複数の独立した経路表を持てます。
- MPLSを使わずにVRFだけを使う構成を「VRF-Lite」と呼びます。
- VRFが違えば、同じIPアドレスを重複して使えます。
- 確認やpingには、
vrfを付けたコマンドを使います。
VRFでできること

通常、ルーターの経路表は1つだけです。VRFを作ると、インターフェースごとに「どの経路表を使うか」を決められます。たとえば、営業部のインターフェースはVRF「SALES」、開発部はVRF「DEV」に入れると、2つのネットワークは同じルーターを通りながらも、互いに通信できない別々のネットワークとして動きます。
- VRFが違えば、同じIPアドレス(例:192.168.1.0/24)を重複して使えます。
- ルーターを部署ごとに用意しなくても、ネットワークを分けられます。
VRFとVRF-Liteの違い
| VRF-Lite | MPLS VPN(MPLS L3VPN) | |
|---|---|---|
| MPLS | 使わない | 使う |
| VRFの情報の受け渡し | ルーター間をVRFごとに別々のインターフェース(サブインターフェースなど)でつなぐ | MP-BGPでまとめて受け渡す |
| 向いている規模 | 小〜中規模 | 大規模(通信事業者など) |
基本の設定例
vrf definition SALES
address-family ipv4
exit-address-family
!
interface GigabitEthernet0/1
vrf forwarding SALES
ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
注意点として、インターフェースにvrf forwardingを設定すると、そのインターフェースに入っていたIPアドレスは消えます。VRFを割り当ててから、IPアドレスを設定し直します。
OSPFと組み合わせる
router ospf 10 vrf SALES
network 192.168.1.0 0.0.0.255 area 0
OSPFのプロセスをVRFごとに作ると、そのVRFの経路表に対してOSPFが動きます。
確認に使うコマンド

show vrf:作成したVRFと、割り当てたインターフェースを確認するshow ip route vrf SALES:VRF「SALES」の経路表を確認するping vrf SALES 192.168.1.10:VRF「SALES」の中でpingを打つ
VRFを使っている環境で、vrfを付けずにshow ip routeやpingを実行すると、通常の経路表(グローバル)が使われます。「経路が見えない」「pingが通らない」という問題の多くは、これが原因です。
ENARSIのほかの分野の勉強の進め方は、ENARSIの勉強法でまとめています。
よくある質問
VRFが違えば同じIPアドレスを使えますか?
使えます。VRFごとに経路表が独立しているため、同じネットワークアドレスを重複して使えます。
vrf forwardingを設定したらIPアドレスが消えました。
仕様です。VRFを割り当てるとインターフェースのIPアドレスは削除されるので、設定し直してください。
VRFの中でpingを打つにはどうしますか?
ping vrf VRF名 宛先アドレスのように、vrfを付けて実行します。
