CCNP ENCOR(350-401)は、CCNP Enterpriseを取得するために必ず合格が必要なコア試験です。出題範囲が広く、CCNAの延長のつもりで始めると途中で手が止まりやすい試験でもあります。
この記事では、ENCORの勉強方法を「何を、どの順番で、どこまでやるか」に絞って整理しました。
先に結論から
- ENCORの勉強は「出題範囲の確認 → 教科書で理解 → 実機・仮想環境で手を動かす → 問題演習で弱点をつぶす」の4ステップで進めます。
- 出題の比重が最も大きいのは「インフラストラクチャ」(30%)です。ルーティング、スイッチング、IPサービスから先に固めると効率的です。
- 自動化(15%)とセキュリティ(20%)は、CCNAより深く問われます。後回しにせず、早めに手をつけるのが安全です。
- 問題演習は「正解した理由」と「他の選択肢が誤りである理由」まで説明できるようになるまで繰り返します。
CCNP ENCOR(350-401)とはどんな試験か
ENCOR(Implementing and Operating Cisco Enterprise Network Core Technologies)は、企業ネットワークの中核となる技術を幅広く問う試験です。CCNP Enterpriseは「ENCOR+コンセントレーション試験1つ(ENARSIなど)」の2試験で取得できます。
| 試験番号 | 350-401 ENCOR |
|---|---|
| 試験時間 | 120分 |
| 受験言語 | 英語・日本語 |
| 受験料 | 62,480円(税込)(2026年11月時点。改定されることがあるため申込時にご確認ください) |
| 位置づけ | CCNP Enterpriseのコア試験 |
出題分野と比重
| 分野 | 比重 | 主な内容 |
|---|---|---|
| アーキテクチャ | 15% | ネットワーク設計の考え方、SD-WAN、SD-Access、QoS |
| 仮想化 | 10% | 仮想マシン・仮想スイッチ、VRF、GRE・IPsecトンネル、LISP、VXLAN |
| インフラストラクチャ | 30% | スイッチング(STP、EtherChannel)、OSPF・EIGRP・BGP、IPサービス、マルチキャスト |
| ネットワークアシュアランス | 10% | debug、SNMP、syslog、NetFlow、SPAN、IP SLA、Catalyst Center |
| セキュリティ | 20% | デバイスへのアクセス制御、ACL、CoPP、無線のセキュリティ |
| 自動化 | 15% | Python、JSON、YANG、NETCONF・RESTCONF、API、EEM |
勉強を始める前に確認したい2つのこと
1. CCNAの範囲があやふやになっていないか
ENCORはCCNAの知識を前提に、一段深いところを問います。たとえばOSPFなら、ネイバーが張れる条件だけでなく、LSAの種類やエリア設計まで理解している必要があります。CCNAから時間が空いている方は、サブネット計算、VLAN、STP、OSPFの基本を最初の1〜2週間で見直しておくと、その後がスムーズです。
2. 手を動かせる環境があるか
ENCORは設定やshowコマンドの出力を読ませる問題が多く、文章を読むだけでは理解が定着しにくい試験です。Cisco Modeling Labs(CML)やEVE-NGなどの仮想環境を用意しておくと、BGPやマルチキャストのような「動きを見ないと分かりにくい」分野の理解が早くなります。
ENCORの勉強方法:合格までの4ステップ

ステップ1:出題範囲を確認し、学習の順番を決める
最初に、Cisco公式の試験トピックをすべて読み、知っている項目・聞いたことがある項目・初めて見る項目の3つに分けます。比重の大きいインフラストラクチャから着手し、次にセキュリティと自動化、最後にアーキテクチャ・仮想化・アシュアランスという順番がおすすめです。
ステップ2:教科書で仕組みを理解する
教科書は1冊に絞り、通読するより分野ごとに「読む → 図を描いて説明してみる」を繰り返します。英語に抵抗がなければ、Cisco Pressの公式ガイド(CCNP and CCIE Enterprise Core ENCOR 350-401 Official Cert Guide)が出題範囲を網羅しています。日本語で学びたい方は、和書の対策本を軸にして、足りない部分を公式ドキュメントで補う進め方が現実的です。
ステップ3:実機・仮想環境で設定と確認を繰り返す

教科書で読んだ内容は、その日のうちに設定して確かめます。ポイントは、設定することより「showコマンドの出力を読んで状態を説明できること」です。試験でも出力から原因や状態を判断させる問題が多く出ます。
- OSPF・EIGRP:ネイバーが張れない原因を、わざと設定を崩して確かめる
- BGP:ベストパスの選択順序を、属性を1つずつ変えて確かめる
- STP・EtherChannel:ルートブリッジやポートの役割が変わる条件を確かめる
- 自動化:RESTCONFでインターフェース情報を取得し、JSONの構造を読む
ステップ4:問題演習で弱点をつぶす
理解がひととおり進んだら、問題演習に移ります。演習の目的は点数を取ることではなく、弱点を見つけることです。1問ごとに次の3点を確認すると、同じ論点で何度も間違えることがなくなります。
- なぜその選択肢が正解なのかを、自分の言葉で説明できるか
- 他の選択肢がなぜ誤りなのかを説明できるか
- 間違えた問題は、教科書や仮想環境に戻って確かめたか
答えの番号だけを覚えてしまうと、少し聞き方が変わった問題に対応できません。解説を読んで納得できるまで、ステップ2・3に戻ることを繰り返してください。
分野別の勉強のコツ
インフラストラクチャ(30%)
最も比重が大きく、合否を左右する分野です。OSPF・EIGRP・BGPは「どの条件でネイバーが確立するか」「どの経路が選ばれるか」を説明できることを目標にします。マルチキャスト(IGMP、PIM)はCCNAで深く扱わないため、つまずきやすいポイントです。図を描きながら、パケットの流れを追う練習をしておきましょう。
セキュリティ(20%)
AAA(TACACS+とRADIUSの違い)、ACL、CoPP、無線の認証方式などが中心です。用語の暗記で終わらせず、「どこで・何を守るための機能か」をセットで覚えると選択肢を絞りやすくなります。
自動化(15%)
ネットワークエンジニアが苦手にしやすい分野ですが、問われるのはプログラミング能力そのものより、「JSONやYANGの構造を読めるか」「NETCONFとRESTCONFの違いを説明できるか」「APIのレスポンスコードの意味が分かるか」といった読み取りの力です。短いPythonスクリプトやJSONを実際に読んでおくと、本番で慌てずに済みます。
アーキテクチャ・仮想化・アシュアランス(計35%)
SD-WANやSD-Access、VRF、トンネル技術、NetFlowやIP SLAなど、項目は多いものの1つずつの深さはインフラストラクチャほどではありません。各技術について「何を解決するための仕組みか」「構成要素は何か」を説明できるところまで押さえておけば、得点源にしやすい分野です。
勉強時間の目安
必要な勉強時間は、CCNAの理解度と実務経験によって大きく変わります。あくまで目安ですが、次のように考えて計画を立てると無理がありません。
| 状況 | 学習期間の目安 |
|---|---|
| ネットワークの設計・構築を実務で担当している | 2〜3か月程度 |
| CCNAを取得して間もない/実務経験が少ない | 4〜6か月程度 |
| CCNAから時間が空いている | CCNA範囲の復習を含めて6か月程度 |
計画は「試験日から逆算」して立てるのがおすすめです。最後の3〜4週間は問題演習と弱点の復習にあて、それより前に全分野を一度は学び終えるようにスケジュールを組みましょう。
ENCORの勉強でよくある失敗
- 教科書を最初から最後まで通読しようとする:量が多く、終盤に着く頃には序盤を忘れがちです。分野ごとに「読む・手を動かす・問題を解く」を回しましょう。
- 自動化を最後まで後回しにする:比重は15%あります。直前に詰め込むより、早めに少しずつ触れておくほうが定着します。
- 問題の答えだけを覚える:聞き方が変わると解けません。選択肢ごとに正誤の理由を説明できるかで、理解度を確認してください。
- 出題範囲の改訂を確認しない:古い教材だけで学ぶと、範囲外の内容に時間を使ってしまいます。受験前に公式の試験トピックを必ず確認しましょう。
問題演習にはWeb問題集も活用できます
Smart Innovationでは、ENCORの出題範囲に沿ったオリジナルのCCNP ENCOR対策問題集をWeb形式で提供しています。解説付きで、パソコンでもスマートフォンでも演習できるため、上で紹介したステップ4(問題演習)に使っていただけます。
価格・収録内容・利用期間などの最新情報は、公式ショップの商品ページでご確認ください。法人でご利用いただく場合は法人でのご利用をご覧ください。
よくある質問
ENCORは独学で合格できますか?
独学で合格する方も多くいます。教科書・仮想環境・問題演習の3つをそろえ、出題範囲を一通り学んでから演習で弱点をつぶす流れを守れば、独学でも十分に合格を目指せます。
ENCORとENARSIはどちらを先に受けるべきですか?
決まった順番はありませんが、出題範囲が広いENCORを先に学ぶと、ルーティングの土台ができた状態でENARSIに進めるため効率的です。ENARSIの勉強方法はこちらの記事で紹介しています。
日本語で受験できますか?
はい。ENCORは英語と日本語で受験できます。ただし、教材や公式ドキュメントは英語のものが多いため、技術用語は英語表記でも分かるようにしておくと安心です。
プログラミングの経験がなくても自動化の分野は大丈夫ですか?
大丈夫です。問われるのは、JSONやYANGの構造を読む力や、NETCONF・RESTCONF・APIの基本的な仕組みの理解が中心です。短いコードを読んで、何をしているかを説明できるように練習しておきましょう。
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