NAT(Network Address Translation)は、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを変換する仕組みです。社内のパソコンがインターネットに出るときや、社内のサーバーを外に公開するときに使います。CCNAから続くテーマですが、CCNP ENCORでは設定と出力の読み方まで問われます。
先に結論から
- NATには、スタティックNAT(1対1で固定)、ダイナミックNAT(プールから割り当て)、PAT(ポート番号で多対1)の3種類があります。
- アドレスは、inside local・inside global・outside local・outside globalの4つの呼び方で区別します。
- インターフェースに
ip nat insideとip nat outsideを設定し忘れると、変換は行われません。 - 確認には
show ip nat translationsを使います。
NATの3つの種類

| 種類 | 変換のしかた | 主な用途 |
|---|---|---|
| スタティックNAT | 1つの内部アドレスを、1つのグローバルアドレスに固定で変換 | 社内のサーバーを外に公開する |
| ダイナミックNAT | 内部アドレスを、プールにあるグローバルアドレスに順に割り当てる | グローバルアドレスが複数あるとき |
| PAT(NATオーバーロード) | ポート番号を使い分けて、多くの内部アドレスを1つのグローバルアドレスに変換 | 社内からインターネットへ出るとき(もっとも一般的) |
4つのアドレスの呼び方

| 呼び方 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| inside local | 内部の端末に設定されているアドレス | 192.168.1.10 |
| inside global | 内部の端末が、外から見えるアドレス(変換後) | 203.0.113.5 |
| outside global | 外部の相手の本当のアドレス | 198.51.100.20 |
| outside local | 外部の相手が、内部から見えるアドレス | 198.51.100.20(通常はoutside globalと同じ) |
「inside/outside」は端末が内側か外側か、「local/global」は内側から見たアドレスか外側から見たアドレスか、と覚えると整理しやすくなります。
設定例
PAT(インターフェースのアドレスを使う)
interface GigabitEthernet0/0
ip nat inside
interface GigabitEthernet0/1
ip nat outside
!
access-list 1 permit 192.168.1.0 0.0.0.255
ip nat inside source list 1 interface GigabitEthernet0/1 overload
スタティックNAT(サーバーの公開)
ip nat inside source static 192.168.1.100 203.0.113.10
ダイナミックNAT(プールを使う)
ip nat pool POOL1 203.0.113.20 203.0.113.30 netmask 255.255.255.0
ip nat inside source list 1 pool POOL1
プールを使う設定にoverloadを付けると、プールのアドレスでPATを行います。
確認とトラブルシューティング
show ip nat translations:変換の対応表(4つのアドレス)を確認するshow ip nat statistics:変換の件数や、insideとoutsideのインターフェースを確認するclear ip nat translation *:動的な変換をすべて消すdebug ip nat:変換が行われているかを1つずつ確認する
変換されない原因の多くは、inside/outsideの付け忘れ、ACLが対象のアドレスと合っていない、プールのアドレスが足りない、のどれかです。
ACLの書き方はACLの種類と書き方で解説しています。ENCOR全体の勉強の進め方はENCORの勉強法でまとめています。
よくある質問
PATとNATの違いは何ですか?
PATはポート番号を使い分けることで、多くの内部アドレスを1つのグローバルアドレスに変換します。NATオーバーロードとも呼ばれます。
inside globalとは何ですか?
内部の端末が、外部から見たときのアドレス(変換後のアドレス)です。
NATの設定をしたのに変換されません。
インターフェースにip nat insideとip nat outsideが正しく設定されているか、ACLが対象のアドレスに合っているかを確認してください。
