パソコンのデフォルトゲートウェイを1台のルーターに頼っていると、そのルーターが止まった瞬間に外へ出られなくなります。これを防ぐのが、HSRP・VRRP・GLBPといったFHRP(ファーストホップ冗長化プロトコル)です。CCNP ENCORでも出題されるので、違いを表で整理しておきましょう。
先に結論から
- 3つとも、複数のルーターで1つの仮想IPアドレスを共有し、デフォルトゲートウェイを冗長化する仕組みです。
- HSRPとGLBPはシスコ独自、VRRPは標準のプロトコルです。
- HSRPとVRRPは基本的に1台が通信を担当し、GLBPは複数台で負荷を分散できます。
- プリエンプト(優先度の高いルーターが役割を取り戻す動き)は、HSRPでは初期状態で無効、VRRPでは有効です。
HSRP・VRRP・GLBPの比較表

| HSRP | VRRP | GLBP | |
|---|---|---|---|
| 種類 | シスコ独自 | 標準(RFC) | シスコ独自 |
| 役割の名前 | アクティブ/スタンバイ | マスター/バックアップ | AVG/AVF |
| 負荷分散 | グループを分ければ可能 | グループを分ければ可能 | 1つのグループで可能(AVFは最大4台) |
| 仮想MACアドレス | 0000.0c07.acXX(v1) 0000.0c9f.fXXX(v2) | 0000.5e00.01XX | 0007.b400.XXYY |
| 優先度の初期値 | 100 | 100 | 100 |
| プリエンプトの初期値 | 無効 | 有効 | AVGは無効 |
| マルチキャストアドレス | 224.0.0.2(v1) 224.0.0.102(v2) | 224.0.0.18 | 224.0.0.102 |
HSRPの動き

HSRPでは、同じグループのルーターのうち優先度が最も高い1台がアクティブになり、仮想IPアドレス宛ての通信を受け持ちます。もう1台はスタンバイとして待機し、アクティブからのHelloが届かなくなると役割を引き継ぎます。Helloは3秒ごと、ホールドタイムは10秒が初期値です。
優先度が同じ場合は、インターフェースのIPアドレスが大きいほうがアクティブになります。
HSRPの設定例
track 1 interface GigabitEthernet0/1 line-protocol
!
interface Vlan10
ip address 192.168.10.2 255.255.255.0
standby version 2
standby 10 ip 192.168.10.1
standby 10 priority 110
standby 10 preempt
standby 10 track 1 decrement 20
この例では、優先度を110にしてアクティブになりやすくし、プリエンプトを有効にしています。さらに、上流につながるGigabitEthernet0/1が落ちたら優先度を20下げ(110→90)、スタンバイ側(初期値100)に役割を渡すようにしています。
ENCORで問われやすいポイント
- プリエンプトを設定しないと、優先度が高いルーターが復旧してもアクティブに戻らない(HSRP)。
- トラッキングで優先度をいくつ下げれば役割が切り替わるか、計算させる問題が出る。
- VRRPは、ルーター自身の実IPアドレスを仮想IPアドレスとして使える(その場合、そのルーターの優先度は255になる)。
- GLBPは、AVGがパソコンからのARPに対して各AVFの仮想MACアドレスを順に返すことで、負荷を分散する。
ENCOR全体の勉強の進め方は、ENCORの勉強法でまとめています。
よくある質問
HSRPとVRRPのどちらを使えばよいですか?
シスコ以外のメーカーの機器が混ざる場合は、標準のVRRPを選びます。シスコ機器だけの環境ではHSRPもよく使われます。
HSRPで優先度が同じときは、どちらがアクティブになりますか?
インターフェースのIPアドレスが大きいほうがアクティブになります。
GLBPはどうやって負荷を分散しますか?
AVGが、パソコンからのARPの問い合わせに対して、各AVFの仮想MACアドレスを順番に返します。これにより、パソコンごとに異なるルーターを使うようになります。
