再配送(redistribution)は、OSPFやEIGRPなど異なるルーティングプロトコルの間で経路を受け渡す仕組みです。企業ネットワークの統合や移行の場面でよく使われる一方、設計を誤るとルーティングループや遠回りの経路を生む原因にもなります。CCNP ENARSI(300-410)では特に重点的に問われるテーマです。
この記事では、再配送の基本と、相互再配送で起きやすい問題、その防ぎ方を整理します。
先に結論から
- 再配送では、受け取る側のプロトコルの形式に合わせて「シードメトリック(最初のメトリック)」を決める必要があります。
- EIGRPへ再配送するときは、メトリックを指定しないと経路が使われないため、必ずメトリックを設定します。
- 2つのプロトコルの間で双方向に再配送(相互再配送)すると、ルーティングループや遠回りの経路が起きやすくなります。
- 対策は「ルートタグで自分が送った経路を見分けて止める」「ディストリビュートリストやルートマップで絞る」「AD値を調整する」の3つが基本です。
再配送とは
ルーティングプロトコルは、それぞれ自分の方式で経路を交換します。たとえばOSPFで学習した経路は、そのままではEIGRPのネイバーには伝わりません。再配送を設定したルーター(OSPFでいうASBR)が、片方のプロトコルの経路をもう片方のプロトコルに取り込み、伝えられるようにします。

シードメトリック:最初のメトリックを決める
プロトコルごとにメトリックの考え方が違うため、再配送するときは受け取る側のプロトコルで使う最初のメトリック(シードメトリック)を決める必要があります。
| 再配送先 | メトリックを指定しない場合 | ポイント |
|---|---|---|
| OSPF | 既定のメトリックが付く(一般にE2の外部経路として20) | 外部経路のタイプ(E1/E2)を意識する |
| EIGRP | メトリックが「無限大」扱いになり、経路として使われない | default-metricやmetricオプションで必ず指定する |
| BGP | 元の経路のメトリックがMEDとして引き継がれる | 必要に応じてルートマップで属性を設定する |
相互再配送で起きる問題
2台以上のルーターで、2つのプロトコルの間を双方向に再配送すると、次のような問題が起きやすくなります。
1. ルーティングループ
あるプロトコルから再配送した経路が、別のルーターでもう一度元のプロトコルに戻されると、経路がぐるぐる回り続けることがあります。
2. 遠回りの経路(最適でない経路)
ルーターは、同じ宛先への経路が複数あるとき、まずAD値(管理距離)の小さいほうを選びます。たとえばRIP(AD値120)の経路を2台のルーターでOSPF(AD値110)に再配送すると、片方のルーターでは、RIPで直接学習した経路よりも、もう片方のルーターから届いたOSPFの外部経路のほうが優先され、遠回りの経路が選ばれてしまうことがあります。

問題を防ぐ3つの方法
1. ルートタグで見分けて止める
再配送するときにルートマップで経路にタグ(目印の番号)を付け、反対側に再配送するときは、そのタグが付いた経路を拒否します。「自分が送り込んだ経路は送り返さない」という考え方で、ループを防ぐ代表的な方法です。
2. ディストリビュートリストやプレフィックスリストで絞る
再配送する経路や受け取る経路を、ディストリビュートリストやプレフィックスリスト、ルートマップで必要なものだけに絞ります。
3. AD値を調整する
外部経路のAD値を調整して、本来使うべき経路が優先されるようにします。プロトコル全体のAD値を変えると影響が大きいため、必要な経路だけに絞って調整するのが安全です。
試験で押さえるべきポイント
- EIGRPへの再配送ではメトリックの指定が必要であること
- OSPFの外部経路のE1とE2の違い(E1は内部のコストを加算する、E2は加算しない)
- 相互再配送でループが起きる仕組みと、ルートタグによる防ぎ方
- show ip routeの出力から、どの経路が再配送されたものか(外部経路か)を読み取る力
問題演習で再配送を得点源にする
再配送はENARSIのレイヤー3技術(比重35%)の中でも理解に時間がかかる分野です。Smart InnovationのCCNP ENARSI対策問題集では、出題範囲に沿った問題を解説付きで演習できます。価格や収録内容などの最新情報は、公式ショップの商品ページでご確認ください。
よくある質問
再配送でメトリックを指定しないとどうなりますか?
再配送先のプロトコルによって異なります。EIGRPではメトリックが無限大扱いになり経路として使われないため、必ず指定が必要です。OSPFでは既定のメトリックが付きます。
相互再配送でループが起きるのはなぜですか?
あるプロトコルから再配送した経路が、別のルーターで元のプロトコルに戻されることで、経路が循環してしまうためです。ルートタグなどで、自分が送った経路を送り返さないようにして防ぎます。
OSPFのE1とE2の違いは何ですか?
どちらも外部経路ですが、E1はOSPF内部を通るコストを加算し、E2は加算しません。
再配送はENCORでも出題されますか?
ENCORでもルーティングの基礎として関連する内容が出ることがありますが、深く問われるのはENARSIです。
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