EIGRPとOSPFは、企業ネットワークで広く使われてきた代表的なルーティングプロトコルです。どちらもCCNAからCCNP(ENCOR・ENARSI)まで繰り返し出題されるため、違いを整理して説明できるようにしておくことが大切です。
先に結論から
- OSPFはリンクステート型、EIGRPは拡張ディスタンスベクター型(ハイブリッド型と呼ばれることもある)のプロトコルです。
- OSPFはコスト(帯域幅をもとに計算)、EIGRPは既定で帯域幅と遅延からメトリックを計算します。
- AD値(管理距離)は、EIGRPの内部経路が90、OSPFが110です。EIGRPの外部経路は170です。
- OSPFはエリアで大規模なネットワークを分割でき、EIGRPはフィージブルサクセサーによる素早い切り替えや、不等コストのロードバランシングができる点が特長です。
EIGRPとOSPFの比較表
| 項目 | EIGRP | OSPF |
|---|---|---|
| 種類 | 拡張ディスタンスベクター型 | リンクステート型 |
| 経路計算のしくみ | DUAL | SPF(ダイクストラ) |
| メトリック | 既定は帯域幅と遅延 | コスト(基準帯域幅 ÷ インターフェースの帯域幅) |
| AD値 | 内部90/外部170 | 110 |
| マルチキャストアドレス | 224.0.0.10 | 224.0.0.5(全ルーター)/224.0.0.6(DR・BDR) |
| 階層化 | なし(AS単位) | エリアで分割できる |
| ロードバランシング | 等コスト・不等コスト(variance) | 等コストのみ |
| 標準化 | Ciscoが開発(後に仕様を公開) | オープンな標準(RFC) |

違い1:経路の計算のしかた
OSPFは、エリア内のすべてのルーターがリンクの状態(LSA)を交換して同じ地図(LSDB)を持ち、そこからSPFアルゴリズムで最短経路を計算します。EIGRPは、隣接するルーターから受け取った経路情報をもとに、DUALというアルゴリズムでループのない最適な経路と、その予備の経路を選びます。
違い2:メトリック
OSPFのコストは、基準帯域幅(既定は100Mbps)をインターフェースの帯域幅で割って求めます。既定の基準帯域幅のままでは、100Mbps以上のインターフェースがすべて同じコスト1になるため、実務では基準帯域幅を大きく設定し直すことがよくあります。EIGRPは、既定では経路上の最小の帯域幅と遅延の合計からメトリックを計算します。
違い3:障害時の切り替え
EIGRPは、最適な経路(サクセサー)に加えて、条件を満たす予備の経路(フィージブルサクセサー)をあらかじめ持っています。最適な経路が使えなくなったとき、フィージブルサクセサーがあればすぐに切り替えられます。OSPFは、リンクの変化を受けて経路を計算し直します。
違い4:大規模ネットワークへの対応
OSPFはネットワークをエリアに分けることで、LSAが届く範囲を絞り、ルーターの負荷を抑えられます。エリアの設計(バックボーンエリア0を中心にした構成、スタブエリアなど)はOSPFの大きな特徴です。

試験で押さえるべきポイント
- AD値(EIGRP内部90、OSPF110、EIGRP外部170)を比べて、どの経路がルーティングテーブルに載るかを判断できる
- EIGRPのサクセサー・フィージブルサクセサーと、フィージビリティ条件を説明できる
- OSPFのコストの計算と、基準帯域幅を変更する理由を説明できる
- ネイバーが確立しない原因(OSPFのエリアIDやタイマーの不一致、EIGRPのAS番号やK値の不一致など)を見つけられる
問題演習でルーティングを得点源にする
EIGRPとOSPFは、ENCOR・ENARSIの中心となる分野です。Smart InnovationのCCNP ENCOR対策問題集とCCNP ENARSI対策問題集では、出題範囲に沿った問題を解説付きで演習できます。価格や収録内容などの最新情報は、公式ショップの商品ページでご確認ください。
よくある質問
EIGRPとOSPFで同じ宛先の経路を学習したら、どちらが使われますか?
AD値の小さいほうが使われます。EIGRPの内部経路(90)はOSPF(110)より優先されます。ただしEIGRPの外部経路(170)はOSPFより優先度が低くなります。
EIGRPはCisco以外の機器でも使えますか?
EIGRPはCiscoが開発したプロトコルで、後に仕様が公開されましたが、マルチベンダー環境では標準のOSPFが選ばれることが一般的です。
OSPFのコストはどう計算しますか?
基準帯域幅(既定は100Mbps)をインターフェースの帯域幅で割って求めます。
不等コストのロードバランシングができるのはどちらですか?
EIGRPです。varianceコマンドを使うと、条件を満たす異なるメトリックの経路にも負荷を分散できます。
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