経路集約は、複数のネットワークを1つにまとめて広告し、経路表を小さくする技術です。OSPFでは、集約できる場所が決まっているのが特徴です。CCNPのENCOR・ENARSIのどちらでも問われるので、2つのコマンドの違いを押さえておきましょう。
先に結論から
- OSPFで集約できるのは、ABRとASBRだけです。
- ABRでエリアの経路をまとめるときは
area rangeを使います。 - ASBRで外部から再配送した経路をまとめるときは
summary-addressを使います。 - 集約すると、ループを防ぐためにNull0宛ての経路が自動で作られます。
OSPFで集約できる場所

OSPFでは、同じエリアの中のルーターは同じ情報(LSA)を持っている必要があります。そのため、エリアの中では集約できません。集約できるのは、エリアの境目にいるABRと、外部の経路を取り込むASBRです。
| area range | summary-address | |
|---|---|---|
| 設定するルーター | ABR | ASBR |
| まとめる経路 | エリア内の経路(他エリアへ広告するもの) | 再配送した外部の経路 |
| 関係するLSA | タイプ3 | タイプ5(NSSAではタイプ7) |
設定例
ABRでの集約(area range)
エリア1の10.1.0.0/24〜10.1.3.0/24を、10.1.0.0/22にまとめて、ほかのエリアへ広告する例です。
router ospf 1
area 1 range 10.1.0.0 255.255.252.0
ASBRでの集約(summary-address)
再配送した172.16.0.0/24〜172.16.255.0/24を、172.16.0.0/16にまとめて広告する例です。
router ospf 1
redistribute eigrp 100 subnets
summary-address 172.16.0.0 255.255.0.0
Null0の経路が作られる理由

集約すると、集約したルーターの経路表に「10.1.0.0/22 は Null0 へ」という経路が自動で追加されます。これは、集約の範囲に含まれるけれど実際には存在しないネットワーク宛てのパケットを捨てるためです。この経路がないと、パケットがデフォルトルートなどに従って行ったり来たりし、ループになることがあります。たとえば10.1.3.0/24が使われなくなった場合、10.1.3.5宛てのパケットはNull0の経路に当たって捨てられます。
確認に使うコマンド
show ip ospf:設定した集約の範囲を確認するshow ip route ospf:集約した経路が届いているか(ほかのルーター)を確認するshow ip ospf database summary:タイプ3のLSAとして集約経路が広告されているかを確認する
試験で問われやすいポイント
- エリアの中のルーター(ABRでもASBRでもない)では集約できない。
- area rangeに
not-advertiseを付けると、その範囲の経路をほかのエリアに広告しなくなる(フィルタとして使える)。 - 集約の範囲に含まれる経路が1つもなくなると、集約経路も広告されなくなる。
LSAの種類はOSPFのLSAタイプ、再配送は再配送の仕組みで解説しています。
よくある質問
OSPFでエリアの中のルーターが経路を集約できますか?
できません。OSPFで集約できるのは、ABRとASBRだけです。
area rangeとsummary-addressの違いは何ですか?
area rangeはABRでエリアの経路をまとめるコマンド、summary-addressはASBRで再配送した外部の経路をまとめるコマンドです。
集約するとNull0の経路ができるのはなぜですか?
集約の範囲に含まれるが実在しないネットワーク宛てのパケットを捨てて、ルーティングループを防ぐためです。
